リフレッシュ休暇 180905~07

ホームページの更新が止まり、いつの間にか何年も経ってしまいました。そこで心機一転ブログを始めてみました。
釣りらしい釣りも超久しぶり。今や釣り人と言うよりマラソンランナーですが、久々の釣り(?)なのでレポを書いておきます。
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今年で勤続25周年となり、一週間のリフレッシュ休暇をもらいました。一応、家族と一緒に旅行でもと声を掛けましたが、奥様は仕事、子供は部活と忙しい。という事でやっぱり一人旅に決定!
さて、せっかくのロングバケーション、どうしようかなあ♪

A : 南アルプスの廃道を辿り、沢で野営し釣り三昧、からの3000m峰ピークハント案
B : 自宅からロードバイクで竹芝へ。そのまま客船に乗り八丈島へ。キャンプしつつ、釣り・ラン・チャリのローテ案
C : いっそのこと小笠原へ行っちゃうか案
D : 仕事が終わらず、自宅でホームワークする案

上記計画(D案以外)いずれも単独キャンプと釣りがセット。超ワクワクしながら計画検討を進めていたが、まさかの猛烈な台風が日本列島を襲撃すると言う悲劇!やむなくD案(自宅で仕事)をしていたが、ようやく台風が通過。土日は出張なので、残りは二日半しか無く、どの案も時間的に無理(涙)。
しかし、とにかく「焚火を前に静かな夜を過ごしたい欲求」が限界だったので、とりあえず、釣竿と野営道具をマイカーに詰め込んで、かつて通った群馬の渓流で遊ぶことにしました。
それから、今まで多くの沢で野営をしてきましたが、単独でかつ山中で野営をするのは初めてです。

 

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車止め近くの陸橋。夕焼けで赤い橋がさらに真っ赤に染まっている。

 

【初日】

 

夕方に車止めに到着。ザックを背負い、林道を歩き始めた。ザックの重量は19kg。それなりに道具は絞ったつもりだが、どうしてもこのくらいになってしまう。一眼レフもやっぱり重いのだ。
いつの間に携帯も圏外になり、以前に比べて荒れまくっている林道も次第に真っ暗になり、ヘッドランプを点けて小走りで進む。

 

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林道はほとんど日が沈み、そろそろヘッドライトを点灯する。

 

約2時間で予定していたテン場に到着。ここは湧き水もあるし、増水の恐れもない高台。
以前は林道にヒルがいたのだが、なぜか全くいなかった。ヒルが怖かったので、今回はタープ泊でなくテント泊。基本的に焚火の前で過ごすが、雨が降っちゃったらテントに避難です。
焚火缶に無洗米と湧き水を入れ、缶ビールを開け、テントを張って、火を熾す。
焚火の火力が安定してきたら、焚火缶を火の上へ吊るす。包丁で野菜を切り、凍らせて持ってきた鶏もも肉と一緒に鍋に入れ、バーナーでスープを作る。ようやく一息だ。
焚火で炊くご飯はほとんど失敗した事がない。持ってきた赤ワインを飲みながら、夕食の鶏もも肉スープとご飯をいただく。
お腹も満たされて、ゆったりと周囲を見渡してみる。改めて焚火の周りには自分以外誰もいない。ひたすら静かで真っ暗な闇があるだけ。

食後、ちょっと林が開けた場所まで歩き、夜空を見上げた。
空一面びっしりと隙間なく星が煌めいていた。まるで星空に包まれている様だ。しばらく星空を眺めて、「夏の大三角」を確認。それから焚火の音がするテントの場所に戻り、ちょっと早目にシュラフカバーに潜り込んだ。
明日は5時起きだ。

 

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【2日目】

夜中、意外と冷えて何度か目が覚めてから、アラームの音で5時に目が覚めた。
昨日のスープに残りのご飯を入れ、卵を入れて雑炊にする。体が芯から温まる。のんびりと釣り準備をして、テントを後にする。今日はなんとかたんぱく質を手に入れないと、夕食のおかずは野菜スープのみになってしまう。

 

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源流釣り師としてはちょっと軟弱なテン場

 

ここからはほぼ登山者は来ない廃道で、斜面に残された細い足跡を辿っていく。途中、切れ落ちた斜面もトラバースしていくので、沢靴にチェーンスパイクを装着して進む。あちこちにブナの実が沢山落ちていた。冬眠前のツキノワグマにとって食料は多そうだ。

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こんな斜面を進む。気を付けないと斜面から滑落しそうになる。

 

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ムラサキシメジ 可食と言われてもちょっと手が出にくい鮮やかな紫色

 

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目印となる栃の巨木の脇を通過。台風の後で栃の実がゴロゴロ落ちている。

 

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キツネノチャブクロ(ホコリタケ)

 

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遥か下に沢が見える。地元の人が夫婦滝と言う滝。太い方が夫?妻?

 

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斜面に流れる沢には、台風で落ちたまだ青いミズナラのドングリがいっぱい。

 

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ミズにはコブが沢山付いている。帰りに採って戻ろう。

 

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入渓ポイントが見えてきた。

 

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約30分で沢に到着。日帰りザック20L 食事と釣具とお助け紐。ここでチェーンスパイクを外す。

 

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今日はフライフィッシング。直前で巻いてきたけど玉数不足・・・。

 

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フライ向きのポイントが少ない。ルアーにすれば良かったかなあ。

 

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全くフライに反応の無いまま一つ目の大滝まで来た。
この滝の直登は険しいので、激藪の斜面を突入するしかない。しかし、すぐに第二の大滝があってそこも大巻きとなる。
激藪斜面に突入して強引に少し登ったが、単独だし久々だし、途中でルートが良くわからなくなり、気持ちが折れて引き返した。

 

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しかたなく林道を少し戻り、途中に差している沢から下降。お助け紐を出すこともなく本流に降りた。
落差があまりないし、深さがある淵や岩魚が隠れやすいポイントが少ないなあ。

 

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師範が以前ウエットフライで尺上を釣った夫婦滝ポイント。
やっとフライに出たのに、痛恨の合わせ遅れ(涙)。くそ~緊張感が足りなかった。

 

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美しいトリカブトの花。時期なのか地域なのか、少し白っぽい。

 

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ミズキの赤い茎と黒い実

 

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アザミとミツバチ

 

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写真ばかり撮ってるが、岩魚の反応は全く無し・・・
この沢、岩魚自体多くは無いが、今日はほとんど大きい淵の底にへばりついているのだろう。ルアーだったらちょっとは釣れるだろうけど、フライには厳しいコンディションだ。結局、また林道を戻り、テン場近くの沢へ移動する事にする。
思い切って大滝の上を登れば良かったかな・・・

 

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色鮮やかなタマゴタケがあちこちに出ていた。

 

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ハナビラニカワタケ

 

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今度はテン場前の沢へ入渓。短い区間だけど、最後に大場所がある。

 

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ここで最後にしようと思ったポイントは、今日一日で一番期待が持てそうな好ポイント。
そして、一発目で出た7寸岩魚。これを逃したら、夕食にたんぱく質が無い!
まるで尺岩魚を釣った時のように、慌てて岸に上げた。(ランディングネットは使わなかったwww)

 

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テン場に戻り、焚火を熾す。ビールを開ける。定型業務。
岩魚を捌いて焚火前に差す。遠火の強火でじっくり焼くのがコツ。同時にご飯も焚火で炊く。
スープはバーナーで。持ってきた野菜と今日採ったタマゴタケを投入。
1人で焚火の加減をしながら、塩焼き、炊飯、鍋を作るのは結構慌ただしい。

 

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今夜の夕食。岩魚の塩焼きとタマゴタケ鍋定食。

 

なんとかたんぱく質の補給ができた。刺身とムニエルもやりたくて準備してたけど、一尾だと塩焼きにする方が、骨まで残さず食べれるのでいい。
釣果はイマイチだったけど、一応、山の中で「焚火を前に静かな夜を過ごす」目的は達成する事ができた。一人野営は不安感もあるかなとも思ったが、全くそんな事はなく、自分のこれからの事や、家族の事など、いつも慌ただしくて考えられなかった事をゆっくりと深く考える事ができて、非常に有意義な一時だった気がする。焚火のパチッパチッとはぜる乾いた音が夜空に響いていた。


【3日目】

 

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翌朝、もう釣りをする気が無いので、沢の水でお湯を沸かして珈琲を淹れてまったり。自宅で焙煎した珈琲を山で飲めるのは非常に幸福感を感じますw

 

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ミズナコブを茹でて塩を掛ける。コリコリした食感がクセになる。唐辛子を少し掛けると美味しいんだけど、忘れてた。

 

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ミズの太い茎を、まな板に乗せて包丁で刻んでミズトロロにする。こちらも唐辛子が少しあった方がいい。

 

山菜を食べたり、残りのワインを飲んだりして、数時間をまったりと過ごし、ようやく重い腰を上げ、テントを撤収。
帰りは走らず、カメラを持ちながらのんびりと林道を帰る。

 

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山葡萄がたわわに実っていて、食べてと言わんばかりに林道に掛かっている。
いくつかの実を口の中へ放り込む。店で売ってるブドウの様に甘くはない。酸っぱい味が口の中に広がる。

 

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ここの林道は朴ノ木がすごく多い。巨大な朴葉が時々道に落ちている。

 

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台風で落ちたサルナシの実があちこちに散らばっていた。いつも高い木の上にあるから採れないけど、今日は採り放題www
拾ってムニュムニュする熟した実を口に入れると、甘さが口の中に広がり、わずかにキウイの酸味を感じる。山菜や木の実って実のところ市販の野菜の方が美味しかったりするけど、サルナシは別格ですね。こんな美味しいフルーツはスーパーには売ってない。猿の様にいくつも拾ってパクパク食べながら歩く。

 

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ガクアジサイ

 

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シャクの花

 

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登山道に通じる橋から渓流を見下ろす。イヌワシが生息する沢。

 

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猛毒のテングタケがニョキニョキ!

 

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そのすぐ脇でヌメリイグチかな?

 

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キクイモモドキとモンキチョウ

 

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ツリフネソウ

 

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行きにヘッドライトを点けた場所。ススキが揺れている。しばらく真っすぐの道を辿れば車止めだ。少し寂しい。

 

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行きの倍以上の時間を掛けて、やっと車に到着。
林道を歩きながら採ったタマゴタケ。並べるとタマゴから生えてくる様子が良く分かる。

 

と言う事で私のリフレッシュ休暇はこれでおしまい。

ラソンやトレイルを走るのも大好きですが、釣りや採取をしながら、焚火をして酒を飲んで、静かな山の夜を過ごすのはやっぱり自分のアウトドアの原点だし、豊かな時間でした。
あんまり釣れなかったし、本当はもっと遠くの深い山へ、日数を掛けて行きたかったけど、また次回ですね。一人キャンプでもいいから、また縄文的な生活をしに山に入りたいですね。

 

さて、早く帰って、翌日からの出張の準備です!